雇用契約と労働契約については、学説が分かれており、現在、明確に区別されておりませn。
雇用契約は民法第623条に、
雇用は、当事者の一方が相手方に対して労働に従事することを約し、相手方がこれに対してその報酬を与えることを約することによって、その効力を生ずる。
と定義されておりますが、労働契約は法律で定義はされておりません。
民法で定義されている雇用契約は、あくまでも対等の関係である甲と乙が契約自由の原則により、契約内容も当事者間で自由に決めることができて、規制もほとんどないものになります。
ただ、現実問題、資本主義社会では、使用者と労働者が契約内容を当事者間で自由に決めてしまいますと、交渉力において使用者が有利になりやすくなるので、労働者の生存権(健康で文化的な最低限度の生活を営む権利)がおびやかされてしまいます。
そのため、労働者を保護するために労働諸法令の規制が行われますが、民法で定義されている雇用契約にその労働諸法令の修正が行われたものが労働契約になります。
その場合、労働契約は労働者が対象になり、雇用契約は労働者以外の者(家政婦や家族従事者など)が対象になります。
ただ、これらのお話はあくまでも一つの解釈にすぎず、現時点では考えが定まっておりません。
実務上は雇用契約と労働契約を同じものと考えて問題ありません。労働局や年金事務所なども特に区別はしていません。
当ブログでは、雇用契約と労働契約を同じものと考えて、一般的によく使われている雇用契約を使っています。