雇用契約(労働契約)は、会社と労働者が合意をすれば、口頭でも成立します。
雇用契約の成立要件
労働契約法第6条には、
労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立する。
と定められており、また、民法第522条第1項および同条第2項には、
契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示に対して相手方が承諾をしたときに成立する。
契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない。
と定められています。
民法は、労働契約法や労働基準法などのベースとなる法律で、契約全般についてのルールを定めています。
これらの条文から、雇用契約は、申込みの意思表示と承諾の意思表示が合致することによって成立すると解され、書面を交付することは、成立要件には含まれません。
従いまして、雇用契約書をとり交わしてないからといって、その雇用契約自体が無効であるということにはなりません。
労働条件の明示義務
ただし、口頭による合意だけだと、労働条件について、あとで言った、言わないなどの争いになってしまいます。
そのような争いを未然に防止するために、国は使用者に対し、雇用契約を締結する際には、労働者に労働条件を明示した書類などを交付するように義務づけています(労働基準法第15条第1項)。
また、労働契約法第4条第2項では、労働者及び使用者は労働契約の内容について、できるだけ書面で確認するように定めております。