業務命令を発する根拠とは、会社と労働者が合意によって締結した雇用契約書の業務内容にあります。
電電公社帯広局事件では、
業務命令とは、使用者が業務遂行のために労働者に対して行う指示または命令であり、使用者が、その雇用する労働者に対して業務命令をもって指示、命令することができる根拠は、労働者がその労働力の処分を使用者に委ねることを約する労働契約にあると解すべきである。
と判断されております。
契約とは、言い換えれば約束ごとです。これとこれはこうしましょうと約束し、それを雇用契約書に記載します。
逆に約束していないことについては、記載しないので、雇用契約書に記載していないことは、従う根拠がないということになり、従う義務がないということになります。
あとでトラブルにならないように雇用契約書の業務の内容は、労働時間に占める割合が多い業務(主たる業務)から順に極力詳しく記載して、主たる業務以外は“その他付随する業務”などという文言で簡単に済ますことがないようにしましょう。
また何かの要因で会社の仕事量が減少することも想定して、その場合に労働者に行わせる業務も記載した方がよいでしょう。